森羅万象

「森羅万象」という言葉があります。森羅は、樹木が限りなく茂り並ぶこと、万象は万物やあらゆる現象であり、熟語としては宇宙に存在する一切のものという意味があります。

樹木が茂り並ぶ森には、樹木以外の植物も生い茂り、また、そこには昆虫などの生き物、それを求める鳥などが生息します。今では確かめようもありませんが、この森羅万象という言葉の語源は、複雑に物質や生物が関係し合うさまを見て、「森に一切のものがある」ということから作りだされた言葉ではないでしょうか。

私は、森には私たちが抱える課題の、およそすべての答えがあると考えています。その答えは、課題を解決する主体者である個人の過去の経験、現在の状態、未来に何を望むかによって変わります。

森では、さまざまな姿で生きる植物、森の空気、土のにおい、鳥のさえずり、水の音、木々のざわめきなどの膨大な量の感覚的な情報に包まれます。私たちはこの膨大な量の感覚的情報を無意識に受け取ります。

情報に満ちた森のなかでは、身体全体が森からの情報を受け取る受容体となり、これらの膨大な量の情報は私たちの意識を静め、日常的な思考優位の状態から感覚優位の状態に導かれます。それは、自分が思考体としての存在から感覚体としての存在に移行することを意味し、自分と外界である環境の境界がぼやけ、やがて環境との一体感を感じられるでしょう。

やがて、意識やこころが静まり、水面が鏡のようになった瞬間がインスピレーションを感じる瞬間です。こころの状態を静かに整え、目の前の植物を観察し、洞察することによって、その時の自分に必要なものが直感的なインスピレーションとして発現し、「答え」として認識されるのです。

その「答え」とは私たちのなかにあり、植物の生きる姿を見ることによって気づかされるものです。その気づきは、完璧なまでのタイミングによって、あなたに訪れることになるでしょう。

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